構造物を破壊することなく、構造物の傷や不具合箇所を検査する非破壊検査には超音波探傷などがありますが、赤外線を使った検査では被測定対象の温度差から測定対象の構造や内部の欠陥を測定をおこないます。赤外線による非破壊検査は非接触で行われ、簡単に二次元画像で状態が把握できる特徴があるため、ビルの外壁の剥離などの検査などに応用されています。また、工場設備やプラントなどの保守では、赤外線による非破壊検査により、不良部などが異常発熱をすることから周囲との比較的大きな温度差が生じ、長時間計測によって比較的容易に不良部の位置を特定することができます。上記の様な検査は赤外線サーモグラフィーと呼ばれます。
初期の頃には駆動ミラーを使って操作していたので、比較的大型で測定にも時間がかかっていましたが、1980年代以降には赤外線センサーアレイによる操作方式の装置が生まれ、そこから測定装置が飛躍的に小型化、高精細化を進めてきました。また、測定時間も飛躍的に短時間で測定できるようになってきたため、被測定物表面の温度変化を時系列に捉えることができるようになり、応用範囲が広がっていくことになりました。これにより、従来のサーモグラフィーではとらえることのできなかったような、温度変化の小さな領域に対しても高精度で把握することができるようになりました。これらの技術的進歩により、今後においても従来以上の用途においてサーモグラフィーの技術が様々な局面で幅広く使われるようになっていくことが予想されます。
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